自主管理か? 管理会社への委託か?
分譲マンションの管理方法には大きく分けて自主管理と管理会社への委託(委託管理)の2種類があります。
文字通り、自主管理とはマンション管理組合が自ら管理組合活動の一切を手分けして担当する管理方法、委託管理とは管理会社に会計・出納、管理事務などを委託し、管理組合は意思決定やコミュニティ活動を主に行うという管理方法です。
管理員や清掃員の雇用、会計業務の外部委託などを管理組合が直接契約することによって管理業務の一部を外注している管理組合もありますが、これも広義の自主管理になるでしょう。
どちらの管理方法を選択するかは管理組合の規模や事情に左右され、もちろん管理組合の意思により決定されるわけですが、私の業務の基本態勢は委託管理へのコンサルティングです。
理由を一言で言ってしまえばお金で解決できることはお金で解決しようよ、ということになります。
自主管理の方がコスト的には圧倒的に優位です。しかし、それはコストが下がっているのではなく、役員さんへの負担増という形でコストを分散(転嫁)していると思うのです。
それならば、外注できることは外注し、余力を攻めの組合運営に注ぐべきだと思うわけです。
(この場合の攻めの組合運営とは、共用部分のグレードアップやコミュニティ活動のために知恵を絞るという意味です。)
日常のルーティン業務や苦情処理などは管理会社にお願いし、マンション住民が将来に向かって夢を描けるような活動をした方が楽しいし、他の組合員に対するアピールもしやすいのではないでしょうか。
また、自主管理のマイナス面についても懸念を感じています。役員さんの負担を輪番でうまく分担できているうちは問題ないのですが、品質のばらつきや負担に対する不公平感について問題にはなりませんか?役員さんはスムーズに担当業務をこなしているつもりでも、影で管理組合を私物化しているなどという中傷は生じていませんか?
自主管理には付き物のこれらの懸念を表面化させないためには、非常に強力なリーダーシップが必要となってきます。
そうなれば結局一部の役員さんに負担が集中することになり、そんな割に合わない役回りを続けてくれる奇特な人はどれくらい存在するのだろうか、マンション管理に必要な継続性は確保できるのだろうか、などと考えるとやはり自主管理は一般に推奨できる管理形態ではないと思います。
しかし、自主管理マンションの知識面、運営面でのお手伝いをさせていただくことは可能ですし、自主管理をサポートしてくれるNPOなどの外部組織もたくさん存在しますから、自主管理がダメだという意識はありません。
委託管理にしても、管理会社がいい加減な会社で、管理会社任せの運営を続けていれば結果的にお金を搾取されることになってしまいます。
つまり、それぞれの管理組合の個性に応じた選択が大事だということになります。極めて当たり前の結論ですが、ご自身の管理組合の運営体制について、今のままでよいのか一度じっくり考えてみられることをおすすめします。