管理規約をじっくり読まれたことはありますか?
私たちのマンション生活のルールブックです。見たことがない、という方は是非一度ゆっくりと時間をかけて読んでみてください。
じっくりと読んでみるとけっこう発見があるものです。「ふんふん、なるほどね!」と理解できる部分もあれば「えっ、これどういうこと?」と感じる記述もあるはずです。
例えば、総会の決議が必要な項目に共用部分の変更がありますが、決議をする場合には管理規約に次の規定が定められています。
「敷地及び共用部分等の変更、または処分が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすときは、その専有部分を所有する組合員の承諾を得なければならない。」
同じような内容が規約の変更時にも規定されています。
では、これってどういう意味でしょう?
もし自転車置場を増設したければ、新たに自転車置場となる部分に近い組合員にあらかじめ承諾を求めなければならないということでしょうか?
その組合員が話のわからない人物であればお流れ?結局ごねたら言い分が通る?
実はそうではありません。「特別の影響」を及ぼす場合に限り、事前承諾が必要とされるのです。
「特別の影響」かどうかの判定は、客観的に、「変更することによる共同の利益」と「組合員の不都合・嫌悪感」を比較検討して判断することになり、組合員の訴えは直接的には関係ありません。調整がつかない場合は司法の判断ということになります。
もちろんケースバイケースの判断なのですが、印象としては、共同の利益強し!といったところでしょうか。
規約の変更の場合でも、ペットの飼育について、よくある「他の区分所有者に迷惑となるペットの飼育を禁止する」規定からペット全面禁止規定に変更する場合、既にペットを飼っている人の承諾を必要としている判例はありません。
同じく、専用使用料(専用庭など一部組合員のみ負担する使用料)の値上げ議案についても該当組合員の承諾なしで決議することが認められています。個人攻撃を目的とするものはもちろん認められませんが。
しかし、管理組合の姿勢として、議案の検討時には不利益を被る組合員に十分に配慮し、しっかりと説明責任を果たすことが必要なのはいうまでもありませんので念のため。
[2010年1月21日]