1月27日の朝刊各誌に注目すべき判例が掲載されました。
その内容は、分譲マンションの1室を賃貸に出すなど実際には住んでいない区分所有者に対し、管理組合の役員業務を免れているとして月額2500円の住民活動協力金を課すことの是非に対して、最高裁判所が適法と判断したというものです。
住民活動協力金(この言葉が周知されているとは言えませんが、判例に従い使用します)の徴収は、今までの管理組合の常識ではそれほど一般的と言えるものではありませんでした。
なぜなら、そもそも区分所有者は公平に利益を享受し公平に負担する、役員を引き受ける区分所有者に対しては、必要に応じて報酬を出して差し支えない、という正反対の考えがマンション管理の一般論であったからです。
現状、非居住の区分所有者に対し、総会議案や理事会議事録の送付にしても各種の連絡にしても居住区分所有者に比べれば手間と経費がかかるという理由で、切手代プラスアルファ程度の月額を徴収している管理組合は比較的多くあります。このケースでは非居住区分所有者にしても抵抗が少なく、たいした問題にならないようです。
しかし、非居住区分所有者が役員を免れることによって居住している区分所有者に負担が偏ることになるため、不公平是正のため金銭負担をすることには合理性がある、という判断はやや意外というか、何か釈然としないものを感じてしまいます。
確かに、区分所有者自身は近隣に住み、マンションは賃貸に出しているケースなどはその通りであるような気がします。ですが、(本当はマンションに住みたいのに)転勤でやむを得ず転出し賃貸に出している、遠方の親近者の介護などにより仕方なく転居して空室にしているケースなどもあり、非居住だからペナルティを払え、というのはやや短絡的のような気がします。
ただ、この判例の本質は案外別のものかもしれません。
管理組合の特別決議で可決した議案が公序良俗に反するものではなく、著しく不合理でもない場合は重く受け止められるべきである。負担金の額が受忍限度の範囲であれば、事前の承諾が必要な「特別の影響を及ぼす場合」にはあたらない。よって徴収を認める、と。
この判例、各所で反響が大きいようです。ところが、以上の通り解釈に迷う点もあるのです。
住民活動協力金は月額2500円まで認められる、と安直に考えることなく、慎重に検討、運営していく必要があると思います。
[2010年2月12日]