今回は、大変興味深い記事をインターネットで読みましたので、少しご紹介します。
興味深い記事とは、
日経ビジネスオンラインで見つけた
200年後も老朽化しない鉄筋コンクリートを実現というもので、開発者は、(独)物質・材料研究機構の元素戦略材料センター、西村俊弥主任研究員という方です。
記事が詳しいため要約するのが難しいですが、西村研究員は環境や材料などにより老朽化スピードが千差万別の鉄筋コンクリートの劣化度合いを正確に測るセンサーを開発し、そのセンサーにより測定された数値を使って老朽化を抑える仕組みを発見したということのようです。
鉄筋コンクリートの最大の劣化要因は鉄筋の腐食です。
鉄筋は周りのコンクリートのアルカリ性度合い(pH)が、酸性雨や海水の塩分などによって下がることにより腐食が進みます。
そこで西村氏は、鉄筋コンクリート内の鉄筋の腐食度合いとコンクリートの塩分濃度とpHとの相関関係を明らかにし、腐食防止策を開発しました。
中古マンションでも採用が可能なその腐食防止策とは、制御型の脱塩処理を施すということです。脱塩処理とは、鉄筋コンクリートの中の鉄筋にマイナスの電流を流すことで、塩分(マイナスに帯電している塩素イオン)をコンクリートの外に排出し、コンクリートの塩分濃度を下げるというものです。
コンクリートには無数の穴が開いており、塩分はこの穴を通じて内部に入り込んできます。鉄筋に電流を流すことにより、穴を通じてその塩分を逆に排出するのですが、従来は、どれ位の強さの電流を、どれくらいの時間流せばよいかがわかりませんでした。
それを、制御型の脱塩処理システムによりコンクリートの塩分濃度を高精度で計測し、脱塩できるようになったとのことです。
現在、5年後の実用化を目指し、企業と共同で制御型の脱塩処理装置の開発を進めているそうです。まだまだ未知数の部分もあるかもしれませんが、この装置が普及すれば、マンションの建て替え問題も別の側面が見えてくるかもしれません。
鉄筋コンクリートの劣化を考慮しなくてもよいならば、理論的にはマンションの寿命という考え方がなくなるわけですから。
記事には腐食しない安価な鉄筋を開発したことについても触れられています。
これも現在、沖縄の海岸にある橋を使って効果を検証しているそうですから、実用化に目途が付くようであれば、マンションをも含めた社会インフラの耐久性が劇的に長期化することが期待できますね。
築100年の味わいあるビンテージマンションを想像するだけでなんだかワクワクします。実用化実験を楽しみに待ちたいと思います。
[2014年7月12日]