先日、私が顧問をさせていただいているマンションの総会で、ある議案を取り下げるということがありました。
その議案は委任状と議決権行使書を含めれば議決権の過半数を確保しており、決議要件としては成立していましたが、質疑応答の中でのやり取りと議決権行使書の反対数などから機が熟していないというか、更に議論の必要性ありと判断し、議長と理事会が相談の上議案を取り下げることにしたのです。
ちなみにその議案、具体的には申し上げられませんが、突飛な議案ではありません。
形状も用途(効用)も変更しない共用部分の改良工事で、改良に伴い無償から有償に変更するという議案でした。
もちろん議案の作りこみと事前説明にも努力しました。
アンケートを実施し、その後報告会兼意見交換会の開催、意見交換会での声を議案に反映させ、満を持し(たつもりで)上程した議案でした。
新年度になり、新しい役員さんたちのもとで再検討を始めているその議案、私としては今でもベストの提案だったと思っています。
今まで出された苦情や経緯を考え、共同の利益を担保するには選択肢がこれしかない!と思うのですが、うまくいかなかったポイントはまさにこの部分にあるような気がしているのです。
つまり、私(を含め理事会メンバー)は苦情の量や詳細を知っており、色々な方法を比較して公平さや費用対効果を検討した過程をわかっている、でもそれが十分に伝わっておらず情報量の格差が発生し、それが最大の障壁になっているのだろうと思うのです。
とは言えですね、こういった背景の部分も資料には書いてあるし、ちゃんと説明もしているんです。要するに受け手側が自分の関心がないことには興味を持たず、情報収集の努力もないままで感情的に意思表示をしているような気がします。
私たちコンサルタントの立場からすれば、こういった状況の打開は本当に難しいです。
動かない人たちに首輪をつけるようなことはなかなかできないですから。
この近視眼的な行動がいずれ自分たちに「つけ」として回ってくるということを伝え続けなければならないのだと思います。
先日は参議院選がありましたが、有権者の投票行動などを見るにつけ、同じだなあと感じる今日この頃です。
[2016年7月13日]