以前のこのコラム欄で、国土交通省がマンション標準管理規約の見直しをしていることをご紹介しましたが、覚えておられるでしょうか?
東日本大震災の影響などもあったと思いますが、見直しスケジュールは大幅に遅れ、この度7月27日にようやくマンション標準管理規約の改正の報道発表がありました。
そしてその改正の中身ですが、このコラムでお伝えした内容(改正試案)から、大幅に縮小された改正となってしまいました。
私は改正試案に対して、よく考えてくれている、とか、結構突っ込んだ見直しをしてくれている、とかの好印象を持っていましたので、今回の改正内容を見て、個人的には失望感というか拍子抜けした感があります。車で言えばマイナーチェンジの印象です。
その中で比較的大きな改正点といえるものは、役員の資格に関する変更と、委任状に対する消極的な位置付けを明記したことでしょう。
まず、役員の資格については、居住要件をなくしました。従来は「現に居住する組合員」となっていましたが、単に「組合員」という規定になりました。
これは役員のなり手不足に対応した改正で評価できるものですが、一方コメント欄では、「マンションの実態に応じて居住要件を加えることも考えられる。」としていますので、やや腰砕けの印象です。はっきりと改正してしまえば全国で普及が進むのに・・・と思います。
次に委任状の位置付けについては、議決権行使書との比較により、委任状は組合員の意思を総会に直接反映させるものではないため、むしろ議決権行使書を提出ことが望ましい、とコメント欄に明記されました。
さらに、委任状を用いる場合には白紙委任状とせず代理人を明記すること、適当な代理人がいない場合には議決権行使書を使用すること、などが記載されています。
この改正については手放しに賛成できません。微妙です。
改正の趣旨は十分理解できますが、この改正は管理組合活動のハードルを一段上げるものです。組合員には理事会を盲信せず自らの意思表示を求め、理事会には書面での意思決定に耐え得るレベルの総会議案書の作成を求めるものです。
これが逆に管理組合活動を停滞させてしまうことにならないか、という懸念を持ってしまいました。
改正点は他にもありますが、今回はこの辺で・・・。
[2011年8月9日]