近頃、全国で給水施設を受水槽方式から直送方式に変更するマンションが増えているようです。行政側でも従来の階数制限等を緩和する動きが急速に進んでいるようです。
もう少し詳しく説明しますと、現在公共水道から受水槽に貯水し、揚水ポンプを使用して各戸に給水しているマンションにおいて、受水槽等を廃止し、公共水道の水圧および増圧ポンプ等を併用して直接各戸に給水するシステムが普及しつつあるということです。
直結給水方式のメリットとデメリットを簡単にまとめれば、メリットは衛生面で貯水方式より優れていることと電気代や清掃費などのランニングコストが軽減されること、デメリットはシステム変更に伴う工事費の負担と非常時に受水槽内の溜め水が使用できなくなることです。
ただし、公共水道の水圧により低層階においては水が出る場合が多いため、配管が無事で住民が協力しあえば非常時対応は何とかなりそうな気がします。
さて、ここまではわりと知られた話で、本題はここからです。
直送方式のうち、直結増圧給水方式への変更を検討する場合に、損益分岐点はどこにあるのでしょう?
ポピュラーなものではLED電球が有名で、大体3〜4年で投下コストが回収できることが知られていますね。
では、直結増圧給水方式への変更はすぐに元が取れるのでしょうか?
実は、大手管理会社の日本総合住生活が試算したデータがあり、それによれば100戸のマンションで12年後に総コストが逆転する(12年で投下コストを回収できる)ようです。
これを長いと見るか短いと見るか難しいところですが、ひとつの目安にはなりそうですよね。
もちろん、増圧ポンプを設置しなくともよいマンションではさらに有利になります。
ですから、これを目安に、ご自身のマンションの将来設計と照らしあわせて見積もりを取得するなどすればよいのではないでしょうか。
それと、この試算で興味深かったのは、マンションの戸数が増えれば増えるほどコストの回収に時間がかかるということでした。
つまり小規模マンションの方が導入メリット(お得度)があるのです。
普段はスケールメリットに分がある大規模マンションにコスト面では差を付けられている小規模マンションですが、直結給水においては別のようです。
小規模マンションの管理組合にとっては少しだけ溜飲の下がるような情報ではないかと思いました。
[2014年2月27日]