前回のコラムで標準管理規約の改正について、私なりの感想を記載しましたが、想像していたより関係団体の反響がすごいです。
以下、いずれもマンション管理新聞11月15日号の記事によるものですが、日本マンション学会、マンション管理業協会、全国マンション管理組合連合会、日本マンション管理士会連合会の4団体が共同で「コミュニティ条項の存続が望ましい」との提言を発表しました。
そして首都圏の15の管理組合が、パブリックコメントに共同して「コミュニティ条項削減」に批判的な意見書を提出したそうです。
また、11月28日付の日本経済新聞夕刊には、第1面のトップ記事で、コミュニティ条項の削減に関して「管理費で忘年会ダメ」というタイトルが踊りました。
記事を読んで、そんな単純な解釈ではないと思うけど・・・とは思いましたがトップで扱われるほどの関心の高さを実感しました。
一方で、日本不動産学会が11月15日に開催した標準管理規約の改正案について議論するワークショップではコミュニティ条項の削減を評価し、むしろ「コミュニティ形成推奨」のマンション管理適正化指針を矛盾であり修正すべき、という正反対の反応です。
まあこれはワークショップのメンバーにコミュニティ条項の削減に固執した規約改正検討会の座長がおり、当然といえば当然の反応なのですが。
標準管理規約改正に関する私の見解は、『標準管理規約は採用を強制されるものではないから、コミュニティ条項を残しても問題がなく、マンション管理適正化指針ではコミュニティ形成の重要性を明言しているから、規約改正時の実際の運用は、どの管理組合でも実質的にコミュニティに関する規定を残すのだろう』というものでした。
前述のとおり検討会ではコミュニティ条項の削減にこだわっていましたから、国土交通省では検討会の顔を立てる意味でもこうせざるを得なかったのだろうと安易に捉えていましたが、実際にはセンシティブ(敏感、慎重)で重要な論点なのだな、と感じました。
確かに新築マンションなどでは原始規約(分譲主から最初に提示される管理規約)に標準管理規約をほとんどそのまま採用するケースもあり、コミュニティ活動が管理組合活動の1つであると明言されていた方がよいに決まっています。
高経年マンションの管理組合に関わっていると、コミュニティ間での暗黙のルールが管理規約なんかよりずっと重視されていることを実感しますし、第三者管理は決して他人事ではなく、どのマンションにも選択肢として提示するべきじゃないのかと思います。
国土交通省は改正時期を年内目標、遅くとも年度内とコメントしているそうですが、この様子では年内の改正は無理そうですね。
私個人としてはコミュニティ条項は復活してほしいし、第三者管理の条項を、使いやすくするために「別建て」で用意してほしいです。
役員の責務の強化についても、第三者管理のバージョンには規定し、通常の管理用の改正規約にはコメントでその旨を表示するなどもう少しわかり易く、誰もが見やすい標準管理規約にしてほしいと思っています。
[2015年11月30日]