先日、マンションの寿命について書いてあるコラムを読みました。
これを読み、それまで私がおぼろげに考えていたことが少し明らかになったような気がしますので、今回はマンションの寿命や価値について考えてみます。
マンションは一体何年ぐらいもつのか?マンション居住者なら誰しも考えたことのあるテーマだと思います。そして、誰もはっきりと答えられなかったテーマであるとも感じます。
ですが、どうやら100年以上は余裕でもちそうです。
RC(鉄筋コンクリート)造建物はコンクリートの中性化が進行し中の鉄筋が錆びることによってその性能が落ちていきますよね。
そこで日本最古のRC集合住宅がある長崎の軍艦島、ここは無人になって40年が経過し台風時など島全体を塩水が覆い水浸しになるそうですが、それでも築100年になる7階建ての住宅は倒壊していないそうです。(ちなみに木造や鉄骨造の建物は跡形もなく崩壊しているそうです。)
全く補修せず放置しても100年はもつわけですから、中性化を遅らせ設備を更新すれば(巨大地震さえ遭遇しなければ)その倍程度は維持できるような気がします。
問題は社会的劣化です。間取りや面積が時代に合わない、使いにくいという理由で徐々に敬遠されていき、使われなくなっていく現象です。
これについては「ヴィンテージ」を目指すということではどうでしょう。
年月を経て程よく味わいが出るという意味のヴィンテージです。
マンションは元々が最新住宅であり、都市型住宅として発展してきましたから立地と新しさが価値みたいなイメージがありますが、ヨーロッパの街並みや日本での古民家ブームなど古くても価値のあるものは多いです。
補修時にはコストや耐久性だけでなく、味わいや雰囲気という視点を加えればヴィンテージ感が出せると思うのですがいかがでしょう。
それともう1つ、私は自然素材の活用だと思います。人は皆、自然に癒されますし、自然素材なら古くなっても味となります。
新建材を使うのならやっぱり新しい方が美しいのです。古くなれば価値が下がります。
これは専有部分中心になると思いますが、木材や紙素材の使用、壁紙の代わりにしっくいを塗るなど自然素材を取り込めば、ある程度社会的劣化にも対応できると思うのですがいかがでしょう。
[2016年4月25日]