国土交通省は3月14日、マンション管理適正化標準指針とマンション標準管理規約を改正しました。マンション標準管理規約の改正は実に5年ぶり、大幅改正です。
このコラムで度々このテーマについて書いていましたが、ようやく完結、決定です。
例えるなら、業界待望の大型新人が難産の末ようやく誕生!といったところでしょうか。
再掲になりますが、今回は主な改正点をご説明します。
まず、従来の選択肢を広げるものとして、①外部専門家の活用と②議決権割合の新基準が挙げられます。
外部専門家の活用は住民の高齢化を背景として、従来区分所有者に限定していた役員業務を外部専門家に委ねることを可能とするもので、議決権割合の新基準とは超高層マンションを想定した資産価値に基づく議決権設定の新たな考え方のことです。
次に、適正な管理のための規定の明確化として、③コミュニティ条項の再整理と④管理費等の滞納に対する措置があります。
コミュニティ条項の再整理は、標準指針の改正でコミュニティ形成の重要性を明記し、一方、標準管理規約の改正ではそれまで規定のあったコミュニティ条項を削除、管理組合の費用の支出を「マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に関する業務」に該当すれば認めることとしました。
簡単に言えば、親睦のための飲み会は管理費等から支出してはダメ、ということになります。
管理費等の滞納措置については管理組合が取るべき対応をフローチャートを使ってわかり易く整理しています。
そして、社会情勢をふまえた改正として、⑤暴力団の排除規定、⑥災害時の管理組合の意思決定、⑦管理状況などの情報開示の規定が整備されました。
この改正で、災害時の現状復旧などの保存行為は理事長が単独で、保存行為を超える修繕工事は理事会の判断のみで実施することが可能となります。
また、中古マンションとしての売買時に宅建業者に提示する必要のあった修繕履歴等の情報の扱いについて、標準管理規約にもようやく反映されました。
その他の改正として、それまで総会にしか認めていなかった議決権行使書の活用を理事会にも認めたり、テレビ会議による理事会の出席に言及したりと従来よりも一歩進んだ運営方法の提示があり、盛りだくさんの改正となっていますが、標準管理規約を丸ごと採用するというより管理組合ごとに取捨選択を求められるひな形が完成した印象を受けます。
[2016年3月26日]