区分所有者が管理費、修繕積立金などを滞納すると、理事会とすれば悩ましいですよね。
単なる払い忘れならすぐに解決ですが、生活が苦しく待ってほしいまたは支払う意思がないという場合はやっかいです。
前者の場合は同じ生活者として温情を出すべきか、でもその結果取り返しのつかないことになれば理事会の責任が問われるというジレンマを抱えることになりますし、後者の場合はあんがい他のトラブルを抱えていることも多く、一筋縄ではいかない場合が多いです。
一般的には管理会社にお任せ、というパターンが一番多いと思いますが、管理会社としても督促状の送付程度は問題なくてもそれ以上となれば当事者外である点や弁護士法のからみなど、あまり積極的には関与しづらいという事情があるようです。
私の考えを申し上げれば、滞納問題はあまり理事会側で頭を悩まさず、淡々と事務的に回収に向けての手続きを進めるべきだと思います。理由が何であろうと滞納は許されるものではありませんし、法的にも債権は保護されています。
処理を進める中で滞納者側から相談や話が出れば検討するまでです。理事会側で先回りする必要はないと思います。
期間的にも滞納が3カ月を超えればすぐに回収に向け対応すべきでしょう。
滞納額が増えれば増えるほど解決には時間がかかり、滞納者自身にとっても良い結果にならないことは自明です。傷は浅いうちに治療した方がいいに決まっています。
では、督促状や内容証明郵便では事態が改善しない場合、次の手として何を選択すべきでしょうか。
一般的なものとして支払い督促と少額訴訟がありますが、私は支払い督促をお勧めします。支払い督促の最大のメリットは、理事長等の役員が裁判所に足を運ばなくて済む(滞納者と顔を合わす必要がない)ということです。
時間はかかりますが、債務名義(強制執行の基準となるもの)は取得できますし、管理組合側の覚悟は伝わりますから解決の糸口になることが期待できます。
組合運営に不満がある等の滞納者の場合は少額訴訟の方が向いています。
この場合はいずれ話し合いの場を持たざるを得ませんから、1回の審理だけで済み、第三者である裁判官が同席するため不毛な議論になりにくい、少額訴訟の方が理事会側も負担が少ないと思います。
どちらを選ぶにせよ滞納額が深刻にならないうちに、早めに準備するのに越したことはないです。
[2013年6月20日]