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マンション管理適正化診断サービスとは?
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![]() コ ラ ムようやく!?標準管理規約が大幅改正へ待望の標準管理規約改正のパブリックコメント(意見公募)が開始されました。 こんな書き方をしてしまうと誰も待っていないと叱られそうですが・・・。 ではもう一度。マンション管理業界では待ちくたびれた感のある標準管理規約の改正案がようやく公表されました! 改正案に関するパブリックコメントが平成27年11月19日まで実施されています。 標準管理規約の改正については今までにも数回、このコラムで取り上げていますが、紆余曲折を経て、でも情報開示のない末のパブリックコメントの開始ですから、本当にようやく、という感が強いです。 まず、今回の改正案について私の第一印象は、「なんかマニュアルっぽい」です。 標準管理規約は各マンションで規約改正の参考とすることになりますが、今回の標準管理規約は、規約改正のお手本にするにはコメント(解説)を含めて細かな記述が多く、使いづらい、というかどのマンションでも一律に採用できるわけではないという印象です。 改正にあたっては、しっかり検討して取捨選択しなければピントはずれになるため、専門家を交え、時間をかけての作業が必要になるような気がします。 また、中身については大幅改正といえると思います。 主な改正ポイントは、 1.外部専門家の活用 2.駐車場空きスペースの収益利用など駐車場の運営についての詳細記述 3.専有部分の修繕についての詳細記述 4.理事長および理事会の権限を再整理 5.コミュニティ条項について修正 6.外部専門家の理事就任に伴う監事の権限強化 7.超高層マンションを意識した議決権の価値割合の採用可能性 8.理事会の運営ルールについて詳細記述 9.管理費等滞納について詳細記述 10.宅建業者からの情報提供要請に対応する規定の追加 などとなっています。 改正の目玉となるのはやはり第三者管理を含めた外部専門家の活用でしょうか。 従来から外部専門家活用の規定はありましたが、助言や指導を求めるといった間接的活用に過ぎませんでした。 今回の改正では更に進んで管理組合の運営に直接携わることを想定し、詳細資料の別添まで行われています。 そして、パブリックコメントの大幅遅延の原因となったと思われる「コミュニティ条項の削除」については、コミュニティ条項そのものは削除し、この主張をした専門委員の顔を立てるとともに、コメント(解説)でコミュニティ活動の必要性を明記、規約本文を若干修正して実質的にコミュニティ条項を継続したという大変ブラボーな対応となりました。(事務方も大変ですね〜。) それでは以下、改正ポイントに関する私の感想です。 1.外部専門家の活用 マンション管理士等の外部専門家が管理組合運営に直接的に関与するパターンを具体的に3つのパターンにまとめ、別添で解説しました。 想定されるケース(マンションの特性)や論点・課題等も整理され、自身のマンションが第三者管理の検討をする場合に、どのようなパターンを採用するべきかという点までうまく整理できていると思います。 2.駐車場空きスペースの収益利用など駐車場の運営についての詳細記述 コメント欄ではあるものの、随分と踏み込んだ内容になっている印象を受けました。 昨今目立っている駐車場空き区画の収益利用にまで言及したり、駐車区画の定期的な入替えを想定したり、駐車料金については近隣駐車料金との差まで記載してあります。 書いている内容は当たり前のことばかりですが、管理組合とすれば、自信をもって駐車場問題を改善できることになると思います。 3.専有部分の修繕についての詳細記述 専有部分の修繕の定義に「共用部分又は他の専有部分に影響を与える恐れのあるもの」という文言が追加されたことにより、随分わかりやすくなりました。 別添の資料はやや期待はずれですが、今回の改正により、例えばスリーブを使用してのエアコンの入替えやクロスの張替えなどは、理事会承認は不要(トラブル防止のため事前届け出は必要)であると明確になりました。 また、窓ガラス等の改良が別途細則がなくても単独で可能となる改正については評価できると思います。 4.理事長および理事会の権限を再整理 改正で第三者管理を可能としたことによるものだと思いますが、かなりわかりづらくなった印象です。 理事長には理事会へ定期的な業務報告を義務付けられましたが、こんなの第三者管理ではない場合には必要ないと思います。 組合員である理事長の負担増の規定は改悪と思われ、この規定が一人歩きしないことを願います。 5.については前述 6.外部専門家の理事就任に伴う監事の権限強化 4.で記載した内容とほぼ同じですが、監事の責任が重くなり、理事会との距離がまた遠くなってしまいました。 第三者管理を採用しない限り、ここまで緊張感を感じさせる規定は必要ないと思うのですが。これからは監事就任を避ける人が増えそうな気がします。 7.超高層マンションを意識した議決権の価値割合の採用可能性 コメント欄ではありますが、眺望等を考慮した価値割合による議決権設定について言及されています。 率直な感想としては、管理費等の負担まで価値割合で算定するならまだしも、議決権だけ価値割合を採用しても不公平感が広がるだけでは、という気がします。 「価値」と言っても主観的な要素が多く、正直私には何故?という印象です。 8.理事会の運営ルールについて詳細記述 コメント欄で、「理事会への代理出席を配偶者等の親族に認める」規定が有効であると明記されたのは評価できます。 従来は、理事は委任契約によるものだから代理出席は認められないという解釈が原則で、管理規約に規定しても無効だとかいう理論もあったのです。 理事会運営を総会運営に近づける改正は、理事会運営がやりやすくなるため賛成です。 9.管理費等滞納について詳細記述 まさにマニュアルみたいです。別添の資料で管理費等の滞納回収方法を詳細に説明しています。 詳しすぎ、かえってわかりにくくなった感もありますが、評価できると思います。 10.宅建業者からの情報提供要請に対応する規定の追加 先に宅建業法で規定された、購入予定者へのマンションデータの通知義務がようやく標準管理規約にも反映された形です。正常進化と言えるでしょう。 今回は久しぶりに長くなってしまいました。 標準管理規約のコメントや別添資料が詳細になることは、活用を前提とすればどんどんハードルを上げていくことになるため、実はあまり好ましく感じていません。 しかし、これは即ちマンションが多様化していることと同義であり、今後一層オーダーメイドでの管理規約作りが求められるのだな、と思います。 第三者管理についてもあてはまりますが、そうなればマンション管理士が今後一層必要とされるわけで、今回の標準管理規約の改正には、私たちマンション管理士も気を引き締めなければならないと言えそうですね。 [2015年10月29日] |