分譲マンションの駐車場では空問題が深刻化しています。
過去には空待ちが当たり前だったのが、付設率の向上、景気低迷、住人の高齢化など様々な要因で、多数のマンションで駐車場が埋まらない状況にあります。
駐車場が空いているということは、その分駐車場収入がないということで、組合会計にも影響を及ぼします。
それならば、外部に駐車場を借りてもらおう、と誰もが1度は考えるわけですが、実は従来、外部使用に「待った!」がかかっていたのです。
管理組合が組合財産である駐車場を、組合員に対して貸すことは非収益事業として課税されません。ところが、わずか1台でも外部に貸した場合、駐車場全体の収入を収益事業として課税するというのがほとんどの税務署の見解でした。
一例を挙げれば、空が全台数の2割程度の場合、空を外部使用者で埋めても、納税後の収入は何もしない状態よりも低くなるといった逆転現象が発生することになります。
この情報を知っていれば、当然、外部使用には躊躇することになり、割り切れないものを感じつつも、駐車場を空のまま放置するといった対応も少なくなかったのです。
この駐車場「外部使用」の課税問題、2月13日にようやく国税庁から正式な見解が公表されました。
区分所有者の使用希望がない場合にのみ外部への募集を行い、区分所有者の使用に優先規定を設ける場合、外部使用部分のみを一部収益事業として課税する、との見解です。
一般常識からすれば当然の見解といえるでしょうが、空問題に頭を痛めていた管理組合からすれば、少しは救われた思いがあるのではないかと思います。
しかし、駐車場の空問題については、外部に貸すことばかりが対策ではありませんので念のため。外部使用も含め駐車場を運用する場合には、区分経理の手間が増える他、事故など共用部分の損傷への備えが必要となる、賃料滞納に対する対策が別途必要となる、などといった一定の検討事項があります。
例えば使用料を見直すとか、駐車場部分を他用途に転用するとか、マンションにとっての最善策を検討したいものです。
[2012年2月28日]