久々にインパクトのあるニュースを聞きました。今回は業界紙に載っていた記事をご紹介します。
タイトルは、「60年居住宣言」。神戸のあるマンション管理組合が、臨時総会で、「60年間の居住」を決議したというのです。あえてマンションの「寿命」を設定することで、今後の維持・保全計画や居住者の生活設計を計画的にスケジューリングしようという取り組みです。
もう少し具体的にご紹介します。マンションは築34年。
住戸27、事務所1の区分所有者数、議決権とも28の管理組合が、委任状を含め賛成26、棄権2と、建て替えに必要な5分の4の決議要件を大きくクリアーして決議しました。決議の後は、宣言書を作成し、エントランスの壁に掲示したそうです。
宣言のメリットとして、期限を定めることで、「事前に心の準備ができる」「建て替えをめぐって住民同士が争うことを防ぐ」ことが紹介されています。
築50年目で建て替えを検討することとし、「その時のメンバーが建て替えるか、更地にして売ってしまうか決めたらいい」のだそうです。
また、宣言は残存年数を考慮した修繕計画にも寄与することになります。1千万を超えるような修繕・改修の場合、一般的には、今すぐ実施するべきか、もう少し様子を見るべきか判断に迷うことになりますが、「あと○年もたせるための改修」なら比較的判断しやすい、ということです。
確かに、建て替え検討は皆さんが思っておられる以上に大変です。
現状、いわゆる建替円滑化法を利用した建て替えはほとんどなく、マンションディベロッパーによる等価交換事業や再開発事業など、立地条件や敷地面積、容積率要件など限られた土地でしか建て替えが成立しないと言っても過言ではありません。
マンション関連法の改正を待たなければならない、などと言われていた建て替え問題ですが、自ら期限を設定することは、建て替え問題を解決するひとつの方法になる可能性を秘めているような気がします。皆さんはどう思われますか?
[2011年11月15日]