マンション管理に対して行政はどの程度係わり、どれ位施策を実行しているかご存知ですか?
公社や公団等の賃貸用共同住宅はともかく、分譲マンションは私有財産だから、行政が関与するべきではない、というのが従来の行政の基本スタンスでした。
マンション管理適正化法施行後においても、国はマンション管理に関する施策を都道府県に通達し、都道府県は市に指示するということはあっても、受け皿となる専門部署がなく、予算もないため、結局具体的なことが何も実施されないという状態が続いているように私は感じていました。
ちなみに昨年までは、
①年1度のマンション管理に関するセミナー開催(奈良県主催)
②マンション管理に関する無料相談会(奈良県主催)
が実施されていただけで、奈良市の取り組みは皆無という状況が続いていました。
一時、奈良県内マンションで期待されていた耐震診断に対する助成も結局実施されず(一部は実施)、近畿の中でマンションが多く存在する大阪や神戸と比較すると、常に淋しさを感じていました。
ところが、勝手な私の思いかも知れませんが、昨年あたりからこの雰囲気が変わってきたような気がしているんです。
以前このコラムでも取り上げましたが、国の補助事業であるマンション等安心居住推進事業を契機として、分譲マンションを社会ストックとして取り上げ、マンション管理に対して真摯に対応しなければならないというムードが出てきたようです。
そこで奈良県ですが、今期、マンション管理に対する施策に初めて予算がつきました!
その内容は「分譲マンション実態調査の実施」というもので、管理組合に対しマンション管理に関するアンケートを実施し、その結果を今後の施策に活かす、というものです。
大阪や神戸はもっと具体的に取り組んでいるため、「なんだ、その程度か」といった声があがりそうですが、今までを知る身とすれば、始めの第1歩を踏み出したということで大変意義深いものを感じます。
私は奈良県マンション管理士会の一員として行政と打ち合わせたり情報交換をしたりしています。今後も行政の取り組みに対して積極的に関与、応援をしていきたいと思います。
[2010年6月18日]