国土交通省から「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」が発表されました。
これは、マンションの機械式駐車場で子供の死亡事故などが発生したことを受け、駐車場管理者や利用者などに向け安全対策を呼び掛けるものです。
マンションの機械式駐車場は駐車場法の対象外となるため、法的な安全基準や定期点検等の義務付けはなく、エレベーターなどとは異なり大型の機械設備という域を超えていませんでした。
しかし、今回のガイドラインに加え、消費者庁でも安全調査に関する報告を準備しているとのことですから、これからは機械式駐車場においても行政の監視、介入が始まるかもしれません。
一方で、こんなニュースもありました。兵庫県西宮市で、既存マンションの機械式駐車場の撤去に関する要綱をまとめたというものです。
これは、マンション建設時に定められた駐車場設置率を維持する必要があるため、台数削減時には本来なら自治体と協議する必要があるところ、駐車場需要の減少に伴い駐車場設備の撤去を行う場合には、届け出だけで構わないとの運用を明文化したものです。
分譲マンションにこれほど普及した機械式駐車場も、今や管理組合のお荷物状態です。
おおよそですが定期点検費が1パレットあたり月額2、3千円、これに数年に1度の塗装費や修繕費、そして15年〜20年周期の更新費(交換)を合わせれば、駐車場使用料2、3万円を確保できる都心部はともかく、持ち出しの方が多い管理組合も少なくありません。
考えてみるに、機械式駐車場も当時は画期的な設備だったのです。
景気のよかった時代には車の保有率は上昇一途で、駐車場不足は深刻でした。
それに料金格差(敷地内駐車場が安くて外部駐車場が割高)の問題もありましたから、敷地内に駐車場を確保できる機械式駐車場は大変有効性の高い設備と言えました。
私も実生活で機械式駐車場を使用していた時期がありますが、コツをつかめば結構駐車しやすいですし、車も汚れにくく(使用区画によります)、車上荒らし等の犯罪にもあいにくかったので、個人的にもかなりお気に入りでした。
ところが今は完全に形勢逆転となってしまいました。
作動時間がじれったい(まあそう…)、順番を待つ時間が嫌(確かに!)、急いでいる時に限って故障する(それも言える…)、車両の大型化や背高化に対応できず空スペースが悩みの種。しかも管理組合にとっては一番の金食い虫です。
最近では「このマンションは機械式駐車場がなくてよかったですね。」とお話しするのですから、何とも複雑な思いです。
これからは安全基準などが強化され、維持コストは更に割高になる可能性が高いです。
機械式駐車場、そろそろお役目終了となるのかもしれませんね。
[2014年4月21日]