![]() |
|
マンション管理適正化診断サービスとは?
![]() |
![]() コ ラ ム標準管理規約の見直しについて今、国土交通省では、マンション標準管理規約の見直しを進めています。 専門家で構成するマンション標準管理規約見直し検討会から改正案の試案が発表され、今後、パブリックコメントの実施などを経て一般に公表となる予定です。 マンション管理士としてはもちろん進捗状況が気になるのですが、どうも全体としては小幅な改正の趣きです。 見直し項目を具体的に列挙する前に、マンション標準管理規約というものの説明をするべきかもしれません。 マンション標準管理規約とは、国土交通省が提示する各マンションにとっての管理規約のお手本のようなものです。 国のスタンスとしては、あくまでも標準管理規約は一例であり、マンション固有の環境や状況にあわせて改正することとされていますが、実質的には標準管理規約に準拠していれば安心、といった風潮があるのも事実かと思います。 その標準管理規約は大きく分けて、本文(条文)とコメントから構成されます。 本文が管理規約のお手本部分、コメント欄は本文の解釈や本文には記載できないけれどもこのようにすべき(「・・・が望ましい。」という表現)という方向性が記載されており、コメント欄も標準管理規約では重要なポイントになります。 それでは改正試案の中身を見てみます。(あくまで試案ですので念のため。) 最大の変更点は役員の資格要件の緩和です。理事と監事は居住していない組合員でもなることができ、配偶者など組合員に近い家族も役員になることができるようになります。 居住の有無で役員になれるかなれないかという論点は長年議論されており、裁判例があるほどの論点です。コメント欄でいろいろと補足がされていますが、今後、各マンションで検討が進むものと思われます。 また、組合員ではなくても配偶者などであれば役員になることを認める変更は1歩前進といえます。 現在は理事会などに配偶者の代理出席を認めていても、役員はあくまで組合員。奥さんが実質的な役員であっても、建前は主人が役員というあいまいな運営方法が実状です。 次に、総会における議決権の取り扱いの明確化があります。 具体的には、代理人による議決権行使の場合の代理人の範囲が明確に規定されます。ただし、この変更は、実務では各マンションで色々と工夫している、つまり、ある程度一般化している項目であり、標準管理規約を実務・実態に合わせた形となります。ですから特に驚きはありません。 逆に、驚きを感じたのは、本文ではなくコメント欄ではありますが、役員の報酬についての方向性が明記されたことです。 従来は「役員は報酬を受けることができる」という記載があったものの、具体的にどうするかという点については記載がありませんでした。したがって、有名無実化、といいますか、実際に役員に報酬を出すことはハードルが高かったのです。 しかし、改正試案では、役員の報酬は年額ではなく月額が望ましいこと、活動実績に応じて支給すること(理事会に欠席する理事には支給しない)、役職によって支給額を変えることは望ましくないこと、などという具体的な記載があり、一歩踏み込んだ形で役員の報酬を捉えています。 他には、監査体制の充実が記載されていたり、組合財産・書類等の取り扱いや保管方法の明確化、詳述化が実施されています。 その中でひとつ紹介しますと、会計年度スタートと総会実施時期とのタイムラグ時に発生する会計処理の規定があります。 例えば、多くのマンションの場合、会計年度は4月1日からスタートしますが、組合運営上で新年度が始まるのは総会で予算が承認される5月後半となります。 その間の2ヶ月ほどに支出したい場合、誰がどのように承認するのか、という問題に対し、改正試案では、経常的な支出に対しては、理事長が承認し支出すると明記しました。 当然といえば当然の規定ですが、丁寧に見直しを進めているな、という印象が持てる改正点ですね。 [2010年11月18日] |