タワーマンション節税の防止策が講じられそうです。
日経新聞朝刊1月24日号によると、総務省と国税庁が相続税を計算する際の基準となる評価額の見直しに着手するそうです。
そして2017年にも省令を改正、2018年には制度を改正し、今はやりのタワーマンション購入による相続税の節税効果を少なくするとのことです。
わかりにくいと思いますので少し解説しますと、昔から不動産を使った相続税の節税対策はよく行われています。
一般的に不動産の固定資産税評価額は公示地価の70%程度と言われており、時価の8割〜9割と言われている公示地価(地域や条件によって異なります)ですから相続財産を現金で持つのと不動産で持つのでは相続税が劇的に変わることになります。
また、相続財産をタワーマンションとすれば節税効果が大きい理由は、高層階を購入すれば下層階に比べて時価(再販売価格)が著しく高価となりますが、相続税評価額は全ての階で一律のため、節税メリットがさらに大きくなるからです。
今回の見直しはその評価額を高層階になるほど引き上げるようで、結果的に節税メリットが薄まることになります。同時に固定資産税負担も増加します。
そもそもタワーマンションの高層階はマンション管理という側面からは扱いが難しく、それは実需(実際に生活の本拠とすること)での所有が少ないからです。
実需でなければマンションに対する意識や価値観が異なり、管理会社に求めるものや総会議案に対する反応も変わります。もともとセカンドハウスを所有する意識なのですから役員就任などの組合活動も期待できないです。
今はまだどの物件も比較的新しいので問題が表面化していないかもしれませんが、築年数を経過したときの修繕や建て替えを考えると困難度は想像を絶するほどです。
マンション管理の側面からも今回の見直しは歓迎しますが、ディベロッパーには頭が痛い問題かもしれません。高層階購入ターゲットのメリットが減少するのですから。
ま、資産家の節税問題や投資家の思惑を分譲マンションには持ち込んでほしくないのが本音ですので、個人的には早期の制度改正を望みたいと思います。
[2016年1月27日]