今回は平成24年10月29日付、日本経済新聞一面からの速報をお届けします。
タイトルの通り、日経新聞の一面に、昭和56年以前のいわゆる旧耐震基準で建築されたマンションや病院などの大規模建物に対し、耐震診断を義務化する国土交通省の方針が掲載されました。
『国土交通省は有識者の意見を聞いたうえで、2013年の通常国会に「耐震改修促進法」の改正案を提出する方向で調整する。15年をめどに耐震調査を義務化する。』(記事より抜粋)とのことです。
義務化された場合には違反者に対し、50万円〜100万円の罰金を科すことを検討しており、補助についても、『13年度から国と自治体が最大で費用のほぼ全額を補助できるようにし、所有者に早期の対応を促す。』と、現状より大幅に拡充される模様です。
気になる適用基準ですが、『対象となる見込みなのは、床面積が5千平方メートル(約1500坪)以上の大規模な建物のほか、幹線道路や震災時の避難路沿いにある建物』とのことで、戸数にして70〜80戸以上であれば義務化の対象となりそうです。
耐震診断の義務化により、旧耐震マンションの耐震改修率の向上が見込まれます。
肝心の耐震改修費用をどう助成するのかについては、記事には書かれていませんが、診断が義務化され、ほぼ無料で実施可能ということになれば、多数のマンション管理組合では耐震診断を実施しようということになるでしょうし、具体的な指標が明示されれば、長期修繕計画の中で工事の優先順位が上がることになるでしょう。
前々回のコラムで書いたように、耐震診断はほとんどの旧耐震マンションでは見て見ぬふり、をしてきたのであり、決して興味がなかったわけではありません。
今回の耐震診断の義務化方針は、優柔不断にならざるを得なかった管理組合にとって、有効な背中の後押しになるような気がします。
記事には、ビルやデパートのような事業用建物では所有者の反発も予想される、と記載されており、義務化が2013年度からスムーズに進むかどうかについては楽観視できないかもしれませんが、マンション管理組合にとっては、朗報だと思います。
耐震診断や耐震改修を行う業者にとっても、事業機会の拡大チャンスであり、来年ぐらいからちょっとした“耐震診断バブル”があるかもしれませんね。
[2012年10月29日]