今年もあと一月となりましたが、今年2012年は「建物の区分所有等に関する法律」いわゆる区分所有法が制定されて50周年に当たります。
もう半世紀、なのか、まだ半世紀、なのかはマンションへの関わり方によって判断が分かれるところだと思いますが、どちらにせよ大きな区切りの年のようです。
法の制定当時は日本住宅公団や住宅公社、民間分譲マンションなど約1万戸前後の分譲マンションが建設され、将来生ずるであろう問題に対処するために、あらかじめ区分所有関係を規律する立法を確立しておく、という目的だったそうです。
法の制定時に最も議論が集中した難題は、「専有部分」と「共用部分」の定義の仕方だったと言われています。
詳細は割愛しますが、まず、専有部分を所有権の目的とすることができる、と規定し、専有部分以外の建物の部分を共用部分とする、という規定は、循環論法みたいで結局定義になっていないのではないか?と当時、議論されていたようです。
今日においては、私たちが何の違和感を持つことなく使っている定義も、制定時には生みの苦しみがあったということですね。
また、共有持分の考え方については、採用された「専有部分の床面積の割合」の他に、専有部分の価格の割合による案や専有部分の体積による案などが検討されたようです。
価格割は分譲業者の恣意的な判断が基準となりますし、周辺環境が変化したような場合等には基準が変わってしまいます。体積割はちょっと意味がよくわかりませんが、床面積割とどう具体的に運用を変えるのでしょう?
どう考えても床面積割が最も合理的な気がしますね。
他にも、理事会方式と管理者方式に関する議論、共同利益背反行為に対する措置(法制定時には見送り)、復旧や建て替えに関する議論などが議論されたようですが、最も私が反応したのは次の項目です。
「団地」については、ドイツ法を参考に規定が設けられましたが、特に議論はなく、戸建ての建物により構成される団地が念頭に置かれていたそうです。
座談会での議論の一コマ。「団地というのは、集団地の略ですか。団というのはどういうことなんですか。」「新聞に団地というのが出ていますよ。」「ただ一つのアパートの建物だけでは団地とは言わんのですか。」
民法の大家が集まった大まじめの議論での会話ですから、面白いというか、隔世の感がありますね。
(今回は、マンション管理センター通信11月号の特集記事、鎌野邦樹教授の寄稿に基づき、私の感想をコメントしたものです。)
[2012年11月28日]