〜ライフサイクルコストを考えたマンションづくりを〜
新築分譲マンションの広告では相変わらず設備面の豪華さを競っています。また、タワー型マンションも花盛りです。
これらの広告を見るたびに感じることは、いつになったらマンション分譲業者もライフサイクルコストを考えるのだろうということです。
ライフサイクルコストとは、簡単に言えば建物を維持するために必要な費用のことで、メンテナンス費や修繕費などの維持コストのことです。
マンションを購入すれば所有権を持つことになります。
所有権の定義は「自由に使用・収益・処分ができること」となりますが、今の商品企画は主に「使用」に着目したもので、その他の要件については考慮していないと思います。
維持コストがかさむということはそれだけ収益が減少するわけで、その視点が今の分譲マンションには欠けていると思うのです。
もっとも、維持コストがかからない建物とは羊かん型の建物になりますが、没個性の建物にすればよいといっているわけではありません。
タワー型ならタワー型でもいいのです。ライフサイクルコストの視点があれば、企画のときから様々な維持費削減のための対策が取れるはずなのです。
しかし現実は、まずその視点がありませんから、いざ修繕を検討する時期になっていろいろと頭を悩ませることとなります。結果、割高な負担を強いられます。
ちょっと話は違いますが、新築時に駐車場使用料無料のマンションを将来資金不足の対応として有料化するのはものすごいエネルギーが必要なのです。
つまり、目先のアピールと後々の苦労を天秤にかければ、後々の苦労の方が圧倒的に大きいということを分譲業者にはわかってほしいのです。
ただ、こういった点は特に初めて家を購入する人たちにはわかってもらいにくいです。
そこで提案なのですが、チラシに載せるのは無理でも、モデルルームに来たお客様に対して「わが社の取組」としてこういった工夫をまとめた冊子を配布してはどうでしょうか。パンフレット内に記載してもよいでしょう。
これからマンションを終の棲家として検討する人が増える中で、買い替え層にアピールできるのは間違いありません。わが社の考えとして、原始規約(管理規約案)を○○のようにまとめたなどのソフト面のアピールも有効です。管理会社の優劣が明確化していく中で、長い付き合いとなる管理会社のアピールも絶対に必要だからです。
こういった地味なアピールは反響が少なく、売れ行きにはさほど影響しないかもしれません。しかし、継続して取り組むことによって会社のイメージアップにつながり、ライフサイクルコストの視点は環境保護にもつながるのです。
ぜひ、マンション分譲業者の新しい視点として、ライフサイクルコストの視点を採用してほしいと思います。ディベロッパーの皆さん、よろしくお願いいたします。
[2008年1月20日]