マンション管理士をやっていると、様々な相談が持ち込まれます。
時には「何で私に?」と思ってしまうような相談も・・・。今回はその中の1つをご紹介します。
ある日、私の事務所に1本の電話がかかってきました。
「石井先生、管理会社のことで1度お会いしてお話をお聞きしたいのですが・・・」
管理会社に対する相談はよく受けるのですが、今回は何となく雰囲気が違います。多くの相談者は正義感に燃え、意気軒昂にお話されるのですが、この方はなんとなく元気がないような、せっぱ詰まっているような、何か違和感があるのです。
私は変な予感を感じ、外でお会いすることにしました。
初めのうちこそ、「○○管理会社ってどうなんですか?」などという答えづらい質問を繰り返されていたのですが、よくよく話を聞いてみると、相談の主旨は次のようなものでした。
相談者自身がマンション管理会社に転職したのだがどうも職場の水があわない、そこで別の管理会社に転職したほうがよいか、別業種に転職したほうがよいか、私の意見を聞かせてほしい、ということです。
なぜ、相談相手が私なのかといえば、以前、セミナーの講師をさせていただいたのですが、そのセミナーの中で私のプロフィールを聞いて、マンション管理業界と転職希望業界の両方を知っているということで、相談対象として適任だと判断されたようでした。
私とすれば、他人の人生がかかった大問題に対して回答をするわけですから、当然、いつも以上に慎重に言葉を選びお話しました。あくまでも参考程度に聞いてください、と念押ししながら・・・。
しかし、正直言って、辛い時間をすごしました。転職事情のご時勢を目の当たりにしたこともあるのでしょうが、知人でもない私が回答すべき内容だったのでしょうか?
相手方(私のこと)がどういう気持ちで聞いているか、考えなくてもよいものなのでしょうか?
インターネットでは匿名同士が気軽に相談したり回答したりしています。どうやら私は時代についていけていないようです。
[2010年7月22日]
(後日談)風の便りに聞いたのですが、この相談者の方、結局転職し、今はうまくマンション管理業界で勤務しているようです。
入社した会社が合わなかったようですね。何はともあれ良かったです。