区分所有者が総会に欠席する場合、賛成や反対の意思表示をするための議決権行使書や委任状といった書面での投票は一般的だと思いますが、この方法には電磁的方法による議決権行使(電子メールの送信やホームページへの書き込み等による投票)が認められています。
この方法は平成14年の区分所有法の改正時に導入され、平成16年の標準管理規約の改正時に採用されましたので、実は結構時間が経過しているのです。
しかし、この方法の採用には個人認証機能が必要といった技術・コスト面の課題に加え、あえて採用するまでの必要性が乏しいといった運用上の理由などもあり、現段階においてもあまり採用したという情報がありません。いわば「絵に描いた餅」状態だと思います。
ですが、私は個人的には電子投票システムに興味を持っています。なぜならメリットがたくさんあるからです。
例えば、
・議決権と区分所有者数の区別が容易なので公平性が高い。
・白紙委任状集めといった裏工作的な(後で不満が出そうな)行為が行いにくい。
・書面の保管は煩わしく保存期間も不明確だが、電子投票なら半永久的に保存が可能
ちょっとわかりづらいかもしれませんが、要は現状あいまいになってしまいがちな議決権の運用を明確にできるため、公平性が高くトラブルが回避できる、ということです。
特に戸数が多く、集計に手間取っているマンションにはメリットが大きいと思います。
一方で、
・やはり高齢者には使いづらい。(QRコードなど携帯電話程度のスキルが必要)
・事前の入力などの準備が大変そう。
・総会に出席し、様々な意見を聞いたうえで意思表示するという運営方法になじまず、 総会を欠席しやすくなるのではないか。
などといった懸念も感じており、一度使ってはみたいのですが、なかなか顧問先の管理組合に勧めづらいシステムなのです。
このシステムを販売している会社が全国でどれくらいあるのかは存じ上げませんが、大阪のグラントという会社が積極的に活動しているようです。
http://www.grant.co.jp/business/e-tohyo.html
一度、無料お試し制度のようなサービスを作ってみたらそれなりに反響あるのではないかと思いますが、グラントさん、いかがでしょうか(笑)。
[2012年9月13日]