マンションのスラム化というキーワードを聞いたことがあるでしょうか。
区分所有者のほとんどが無関心、無責任な状況にあると、管理のレベルが徐々に低下していきます。
レベルの低下が続き、管理が立ち行かない状況になれば管理費の滞納が増え、その状態を放置すると最終的には電気やガスなどのライフラインが止まります。
怪しげなマンションには怪しげな人物、いわゆるホームレスや不良、暴力団などが入り込み、建物を好き勝手に荒らしまわります。
挙句の果てに、大きなコンクリートゴミが町に出現することになり、この顛末をマンションのスラム化、と呼んでいるのです。
この問題はけっこう昔から懸念として語り継がれており、近い将来に社会問題化する、と多くの専門家が予測しています。
私も現実にスラム化予備軍のマンションをたくさん見ています。
実は、以前に京都市の分譲マンション実態調査という仕事で、京都市内のマンションを片っ端から見て回ったのですが、管理費を集めておらず、管理組合がないか全く機能していない上に、管理会社にも委託していない分譲マンションはけっこうな数に上ります。
そんなスラム化の一例を業界紙で見つけましたのでご紹介します。
昨年9月に沖縄の分譲マンションでバルコニーが崩落して下に止めてあった自動車を押しつぶしてしまった事故が発生しました。(一般のニュースにもなりました。)
あれから1年が過ぎ、そのマンションは今どうなっていると思われますか。
何も変わっていない、というのがその答えです。住民は全員避難しましたが、その後管理組合が設立された様子もなく、コンクリート片の処理さえ行われていないそうです。
行政も「区分所有者の合意形成、管理組合の設立を待っている状態」だそうで、何の進展もないといえるでしょう。
悪循環や負の連鎖は始まりだすと止めるのは難しいです。
区分所有者が管理に関心を持ち、共同の利益のためみんなが協力する、この当たり前のルールがやっぱり今回も結論になってしまうみたいです。
[2010年9月24日]