以前、このコラムで取り上げた平成21年度マンション等安心居住推進モデル事業の結果報告が5月28日に公表されました。
(マンション等安心居住推進事業とは、平成21年度にモデル事業として採択された分譲マンション管理組合向けの初めての補助金事業です。国がマンション管理の適正化に本腰を入れた最初の事業となり、業界では大きく注目されています。)
この事業によって得られた成果の要約としては、
・合意形成を進めるためには、区分所有者間のコミュニケーションが重要である。
・コミュニケーションを進めるには区分所有者に対する情報提供や区分所有者からの意見収集、区分所有者間の情報共有を進めることが重要である。
・マンション管理の適正化にあたっては、ハード面やソフト面についての専門知識やノウハウが求められるため、これらの専門性を有する外部専門家からの協力を得ることが有効である。ただし、任せきりにせず、専門家とのコミュニケーションを常にとり、知識、ノウハウを管理組合側が学ぶことが重要である。
などといった、取り立てて新しい成果とは言えないものばかりですが、個別の事例が掲載されていますので、それなりに読み応えはあります。
また、第三者管理方式に取り組むマンションにおいて得られた成果の中で、第三者管理方式のデメリットが報告されています。
・管理組合の運営が第三者管理者への過度な依存に落ち込み、個々の区分所有者の関心が以前にも増して低下する可能性がある。
・第三者管理者への報酬のコスト負担が発生する。
・第三者管理者がマンション管理士等個人の場合、途中で死亡、資格剥奪等のトラブルが発生すると管理組合の管理業務が停止するリスクがある。
・第三者管理制度へ移行した後に役員・理事会制度へ再移行することは困難だと考えられる。
新しい管理方法を採用する場合には、当然メリットとデメリットを比較するわけですが、こういった報告書はそのための基礎データとして十分参考になります。
今後もこの事業には注目し、他マンションの事例を数多く収集したいと思います。
[2010年7月22日]