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コ ラ ム

建て替え問題を考える


 前回に引き続き、今回も建て替え問題について書きたいと思います。
 と言っておきながら、話は全然違うのですが、皆さんはマンションが一戸建てに比較して費用的にお得だと思いますか?
 私はマンション管理士としての仕事をするまでは、絶対お得だと信じていました。
 例えば、固定資産税は土地を多数で共有しているため割安だし、建物のメンテナンスにしても共同購入の形になるため1件あたりに換算すれば割安、修繕にしてもプロ(管理会社)が効率よく発注するため費用対効果が高いetc・・・

 ところが、今はあまりそうだとは思えません。
 固定資産税は一戸建てなら土地部分に大きな軽減措置があるのにマンションの場合その利益をほとんど受けることができない、メンテナンスや修繕は確かに共同購入の形となるが多数決で決められるため自分の意志とは違うコストを支払うことが避けられない、それに加え、一番不公平だと感じるのは、個室単位では外部空間であるエントランスや廊下が私有財産とされ、共用廊下の電気代などの光熱費や修繕費、固定資産税等の負担を各個人が強制されていることです。
 マンション住民は、本来パブリック(公共)スペースであるエントランスや廊下をお金を出して購入し、清掃して、税金を払い、修繕や更新をしなければならず、一戸建てに比べ費用的には決してお得だとは言えないと思います。

 ところで、マンション管理センター通信1月号の中で、明治大学名誉教授の玉田弘毅さんが次のようなことをおっしゃっています。

(以下引用要約)
 分譲マンションは、民事法上は、建物の所有を分けあうということですが、都市行政法的視点からは、宅地の立体化ということです。
 言い換えれば、土木建築工学的手法で積み上げられた街区=立体街区ということで、このことは中高層ないし超高層マンションについては異論の余地がないでしょう。
 つまり、マンションのスケルトン(躯体)は立体的に積み上げられた人工地盤と言えますし、共用廊下・エレベーター等の通路は、平面街区における道路に相当するということになりますから、そのような役割・機能を有するスケルトンは社会的・公共的組織体が所有するのがふさわしいともいうことができるのではないでしょうか。

 スケルトンについて、そのような所有形態を認めることは、マンション建て替えにおける区分所有者の費用の負担軽減につながりますし、建て替え決議の成立も容易になることが予想されます。
したがって、上記のような所有の仕方が認められるということは、区分所有法制上、極めて有意義なことですから、そのように法制的整備がなされることが期待されます。
(引用要約終わり)

 この文章を読んで、私は思わず膝を打ってしまいました。
 共用廊下やエレベーターを「共有」ではなく、「公有」とすれば、不公平感は解消されるではないか。
 これだけ社会に普及し、各種の問題が頻出している分譲マンションの管理問題に対し、私有財産として管理組合にすべて責任を押しつけるから一向に解決の突破口が見えないのではないか。
 法改正や行政の積極介入よりも根本的な解決方法となりえるのではないか。
 これが実現できれば建て替え問題のみならず、社会的財産としてマンションを有機的に保有、持続させることができる、と感じました。

 そもそも個人の家としてマンションを捉えるから一戸建てとの比較をしてしまうのです。社会的インフラとして整備し、その空間を区分所有する無形財産だとしたら、一戸建てと比較した損得勘定にはならないはずです。もちろん固定資産税などありえず、別の財産税を考えてもらいましょう。

 マンションにはマンションとしての魅力がたくさんあります。眺望や解放感、空間の温熱環境、戸締りや移動の容易さ、掃除のしやすさなどライフスタイルが合えば他の居住形態は考えられなくなります。

 マンションを私有財産から社会的インフラへ切り換えていく、この考え方は今のところ現実的ではありませんし実現の可能性も高いとは思えませんが、建て替えをはじめ、あらゆるマンション問題を改善することができる画期的な提言だと思います。

[2013年2月22日]