今年は「値上げの年」と感じます。消費税アップを契機にあらゆるものが値上げされ、庶民の負担感は増大していく一方です。
マンション管理組合の決算書を見ていて、もう1つ上昇を実感するのが火災保険料です。
特に高経年マンションでは火災保険料自体が大幅に値上げされ、付随して加入する地震保険料もどんどん上がっているため、負担増を実感しています。
少しでも経費を押さえたい管理組合としては、地震保険に加入するべきかどうか、といった議論が必ず出てくると思いますが、はたして、いざという時に地震保険は本当に役に立つのでしょうか。
仙台市ほか行政も参加する「マンション管理支援ネットワークせんだい・みやぎ」が実施した
復旧状況に関するアンケートが公表されており、この結果から考察してみます。
この
アンケートによれば、マンション管理組合による地震保険への加入率は約72%でした。
地震保険は火災保険の契約金額の30〜50%の範囲で加入し、全損の場合は契約金額の100%、半損の場合は50%、一部損の場合は5%の保険金が支払われますが、保険会社の査定の結果、全半損が22,5%、一部損が72,3%となり、実に9割以上の管理組合が保険金を受け取ることになりました。
次に、保険金から実際にどの程度修繕費がまかなえたかを見てみますと、残念ながら一気にデーターの数が少なくなってしまいます。
何故なら、復旧工事だけでなく同時に大規模修繕や耐震改修工事を行うマンションが多いからです。
復旧工事のみでかつ工事実施済みの管理組合は60組合。これらのマンションの資金調達方法を見てみますと以下のような結果となりました。
地震保険金のみで復旧を行った管理組合は15組合、割合にして25%です。
保険金プラス修繕積立金で復旧した管理組合は13組合、約22%となり、一方で修繕積立金のみで復旧した管理組合も12組合、20%となります。
また、行政による応急修理制度を利用するケースが12組合、20%あり、何とも微妙な数字ですね。
まあ、地震保険金のみで復旧できた管理組合が全体の4分の1にとどまっていることから、保険金だけで十分に賄えると考えることは難しいでしょう。
一方、保険金を一部でも利用して復旧している管理組合が36件、60%ですから、震災後の厳しい時期を乗り切るための一端を担うといった役割は果たせていると言えそうです。
よく質問を受ける「地震保険は本当に支払われるの?」という声に対してはYESと答えられそうですが、「地震保険は絶対お勧めか?」と言われれば答えに詰まるようなアンケート結果だったように思います。
地震保険に加入するかどうか、地震だけに結局は管理組合自身(!)で判断しなければならないという当たり前の結論になりそうです。
[2014年10月14日]