新年の始まりとともに、私が以前お世話になっていたマンションで、建て替え決議が否決されたとのお知らせを複数の方からお聞きしました。
このマンションでは管理会社の変更をお手伝いさせていただいたのをきっかけに、建て替え検討についても参加させていただいたのですが、本当にしんどかった、そして「誠意を尽くしても必ずしも相手に伝わるとは限らない」という教訓を得た、私にとって思い出深いマンションです。
今は別のマンション管理士さんなどが参加され、建て替え検討を継続されているとお聞きしていましたので、足を運ぶこともなくなっていましたが、今回のお知らせを、私個人としては、残念な思いでお聞きしました。
建て替え決議の成立は大変だ、ということは実感していますし、関連するニュースなどを見て、全国で同じような苦労が繰り返されていることに対して同情しています。
難しさの理由も数多く存在し、それが複合的に絡み合っていることが難しさを増長するのです。世帯ごとの事情、ライフスタイル、価値観、強烈なリーダーの有無、お金etc…
では、普通のマンションは建て替えできないのでしょうか。
私は、早くから準備することが大切なのだと考えています。準備するといっても、建て替え計画を検討するのではなく、自分たちのマンションの将来像を考えることが準備するということです。
マンション管理では、普段(平穏時)、自分たちのマンションについて関心を持たない人が大多数だということは(もちろん課題ではありますが)前提条件と言えます。
しかし、潜在意識の中ではもちろん財産として認識していますし、建て替えを含む継続所有なのか、処分なのかは各自がイメージしていると思います。
そして、実際に問題に直面した時にその思いが一気に噴き出し、主張の強い人たちが自身の考えをぶつける、交差する、そして紛糾する…絶対まとまらないのです。
ですから、平穏時にマンションの将来像を考えておけば、各自がその将来に向けて段取りできると思うのです。
例えば、3回目の大規模修繕時にマンションの将来(建て替えか修繕か)について検討する、と2回目の大規模修繕時に決めておき、3回目にはその将来に向けて必要な修繕を行い、4回目までに各自が準備する、などといった方法です。
こういった提案はあまりないと思うのですが、いかがでしょうか。
[2013年1月17日]